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GameSynthでアクション映像に効果音をあてよう(3/3)
GameSynthでアクションシーンに効果音をあてるシリーズも、いよいよ最後となりました。
パート1、パート2で足音、衣すれ、銃器、爆発、破片などの音を作ってきましたが、今回は、動画後半で登場する人型ロボット・大型メカ系の効果音を作っていきます。
まずは、動画を見てみましょう。
梯子を上っていく人型ロボット
動画0:32で、人型ロボットが歩いた後、大きなメカの梯子ををよじ登っていきます。
足音と脚の動きは、パート1のアサルト兵のパッチを使い回しつつカスタマイズしています。足音はより機械的に聞こえるように調整しました。また、よじ登るモーションは走りに比べて可動域が大きいため、サーボパッチのエンベロープと時間も登りのモーションに合うように変更しました。
GameSynthのImpactモデルのサンプル分析-再合成機能を使って、金属の梯子を「カン、カン」と上る音を作っていきましょう。
作りたい音に近い衝突音(この場合、金属が共鳴する「カン」という音のwavファイル)を、Impact Resonanceパネルにドラッグ&ドロップするだけで、GameSynthはその共鳴成分を抽出し、サウンドを再合成させることができます。
映像に合うようDetune, Global Dampingパラメーターを調整し、さらにリアルにするため、ノイズバンドをImpact noiseセクションに追加しました。パラメーターにランダム幅を割り当てて書き出すことで、微妙に異なる「カン」音バリエーションが生成され、それを前述の足音と合わせます。
次に、梯子をつかむロボットの手の音も作りましょう。
ModularモデルにImpactパッチをインポートするため、Patch Playerモジュールが使われています。さらに、GearおよびGun Foleyモジュールと組み合わせ、より機械的な要素を追加しています。こちらもランダム幅を設けて、バリエーションを量産し、音を動画の動きに合わせて配置しています。
最後にBeamモジュールを使って、カメラがライト付近を通過する際の「ブーン」とうなる音も作りました。
このBeamモジュールは、パラメーターを少し変えるだけで幅広いサウンドを簡単に作ることができます。下の動画では、モジュールウィンドウ下部ツールバーよりRandomボタンを使ってランダムに音を出していき、映像に合うビーム音を見つけて加えています。また、音を揺らすために、ChorusとRing modulatorモジュールも追加しました。
メカの起動
次のシーケンスでは、ロボットがコックピットに座り、メカを起動し始めます。
前述のロボットの動きのパッチを使って椅子に座る音を作りますが、それには、2基のNoise Bandsモジュールを、鋭いエンベロープとフィルタリングで処理することで、簡単に作成できます。
コマンドパネルが立ち上がるシーンは、下の動画のようにMotorとGearモジュールを使って「ウィーン」という機械音を出しつつ、GunFoleyモジュールで、映像に合うような「ガチャン」音を作って終わらせています。
またAI音声は、Mega SawモジュールのAmplitude、Pitch、DetuneをEnvelopeで大きく変調して音声のベースを作成し、Ring Modulator、Vocoder、Degraderモジュールで処理することで、ロボットらしい声に仕上げています。
またハッチの閉まる音は、下の動画のようにMotorモジュールとMachineモジュールを組み合わせています。Machineモジュールは、時間とともにThrottle(スロットル)パラメーターを上げていくことで、メカの動きにめりはりを与えられます。
「プシュー」とした蒸気音を加える時は、Noiseモジュールをフィルタリングするといい結果になります。
「ガコン」と閉まるロック音は、ClangモジュールとGun Foleyモジュールを組み合わせて作りました。Spectral Delayにより、低周波で共鳴が起こるため、大型ハッチのような迫力のある音になります。
メカのエンジン起動音は、2つのパッチを重ねています。
まず、高音のタービンのような音を作りましょう。Noise BandsとPulse設定のOscillatorを、Ring Modulatorに通すことでこの音を出しています。
成分に含まれる耳障りなノイズは、Pitch ShifterとEQによって抑えられています。
次にエンジンが起動する低音の「ゴオオ」音を組み立てましょう。Sine波に設定したOscillatorモジュールをChorusに通すことでメインエンジン音を作り、さらにSine Bankモジュールは、よりノイズの多く荒々しいうなりを与えています。
メカの動き
いよいよ動画の最後のシーケンス、メカが戦闘態勢に入ったパートです。(ちなみに前のタービンとエンジンパッチは、継続性を与えるためこのシーケンスの間も鳴っています)
映像シーンでは、3つのパッチが使われています。①「グオー」と鳴るリアクター(出力装置)、
②「ウィーン」と腕を動かすサーボ、③「ジャキッ」と動きの節目で鳴るジョイント(関節)です。まずは①を下の動画で見ていきましょう。
リアクターは、3つのラインで構成されています。まず左より1番目のラインは、Granular NoiseとNoiseを音源としたノイズで、そのうち前者はLadder Filterにかけることで音を共鳴化させています。
2番目のレイヤーは、Motorモジュールをベースに、Biquad Filter、Chorus、Frequency ShifterをかけることでSF風なモーター音を生んでいます。
3番目のレイヤーは、NoiseモジュールにSaturatorを通して飽和させることで、より荒々しい音を生み出しています。
これらのレイヤーを、Pitch Shifterに繋げた上部のEnvelopeと下部にあるLFOによって、「振動しながらも徐々に加速していく」音へと加工しています。
最終的に、下の動画のように、メカらしいビルドアップサウンドに仕上がりました。
続いて「ウィーン」と腕を動かすサーボは、Machine、Motor、Gearモジュールを組み合わせることで、重厚感のある音に仕上げました。Motorの速度やスロットルはEnvelopeによって制御されており、これを調整することで色々な動きのバリエーションを生み出しています。
「ジャキッ」と鳴るジョイントは、重量感を出すために各動作の最後に機械的な亀裂音を加えていますが、Clangモジュールと複数のGun Foleyモジュールをミックスして合成し、
Distributionモジュールでそれらを全て短時間で、ランダムにトリガーさせることで作り出しています。
パッチのパラメーターにランダム幅を設けて書き出せば、色々なバリエーションが自動で量産できるので、映像に合う音を拾って使っていくと便利です。GameSynthでさまざまな効果音を素早く作成するのに便利なテクニックといえるでしょう!
サンプル音源を一切使わず、GameSynthを使って音声合成だけでアクション映像に効果音をあてていくテクニックを、ブログ3部構成にして見ていきました。
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