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GameSynthでアクション映像に効果音をあてよう(2/3)
ブログ第1部では、アサルト兵、身を隠す兵士、紛争地帯の環境音など、動画前半部のサウンドデザインをご紹介しました。効果音はすべてGameSynthによって音声合成のみで作られ、サンプル音源は一切ありません。(ただし、GameSynthはそれ自体がサンプルマングラーなので、必要に応じて音源の加工なども可能)
今回は、中盤の爆発やガンフォーリーなどを作っていきます。
まずは、動画を見てみましょう。
※このブログ下部にてGameSynthパッチをダウンロードできます。
爆発と瓦礫
上の動画0:12~では、爆発や瓦礫が出てきます。ひとえに爆発といっても、映画などでは様々な規模・距離感のものが使われています。GameSynthのModularモデルを使えば、このような爆発音をデザインする方法が色々ありますが、今回は前回ご紹介した方法とは異なるテクニックをご紹介します。
下の動画には、2つパッチがまとめられています。まずは前半の大規模パッチを、ライン左側から順番に見ていきましょう。
・3つのNoiseモジュールをミックスして低周波の衝撃音「ドーン」を作っています。それぞれlow pass値と振幅のEnvelopeが異なります。
・ChirpとOscillatorモジュールを使って、「ズドン」としたインパクトのある音を加えています。
・Thunderモジュールをフィルタリングして少し滑らかにし、高周波の「バーン」という音の要素を加えています。
・FireとNoise Bandsモジュールを組み合わせて、「ボワア…」とした火炎燃焼を作っています。これにより、いい感じの爆風に仕上がります。
また後半の爆発パッチは、ジェネレーターとしてThunderモジュールのみを使った簡単なものですが、Spectral Delayで音にグラグラ感を与え、Clipperで音を飽和させるといった工夫を行っています。
そして、このパッチ内で使われている「ラインを2本用意してステレオ送信する」テクニックは、立体感のある音を作りたいときに非常に便利な手法です。
各サウンドパラメーターの設定やEnvelopeのdurationをわずかに変えることで、左右で音が異なるステレオ効果が生まれ、爆発音をより大きくしています。
落ちてくるコンクリートブロックの音も作りましょう。
まず、大きなブロック音を作ります。下の動画では、Frictionの低音と、Granular Noiseの高音を音源に、Clipperで音を飽和させています。
Envelopeのdurationを変えるだけで、各ブロックサイズに合わせたバリエーションが作れるので、様々な迫力のコンクリートブロックを表現できます。
小さな落下ブロック用には、Frictionモジュールのみを使用して作った物体共鳴の強いパッチを作りました。 Frictionは単体では「ガラガラ…」とした長い音ですが、Envelopeと繋いで音を短く加工すれば、「ガッ」とした衝突音に変わります。
また、その他の落下音として、RocksとGranular Noiseモジュールを音源に、Spectral Delayで音をちらばせることで、「パラパラ…」とした破片も作れます。(複数のジェネレーターを用意して繋ぎ合わせなくても、このようにSpectral Delayを使えば手軽に音を粒子化できます)
また、Meta Parameterを1つ用意し、それぞれのジェネレーターのdensity(密度)とemphasis(強調)に繋ぐことで、
「パラパラ…」音の密度を手軽に変えられるような設計にしています。
さらに、「サラサラ…」としたダストを表現するため、 前回同様、Whooshモデルの代わりにRainとLeavesモジュールを音源としたパッチも作りました。
きちんとEQでフィルタリングすれば、これらの音が砂音のように軽く、きらめく感じに変わります。
兵士の銃撃
瓦礫が落ち着いた後、動画0:17では、戦闘兵士がライフルとハンドガンを連続して発砲しています。
銃はSFウェポンというよりは実銃タイプで、ライフル、ハンドガン、どちらのパッチもベースが同じである設計を用いています。Gunshotモジュールをソースに使い、サブにGunFoley、Bullet Casingモジュールを使うと、「カチャッ」「チャリン」といったリアルで機械的な音が加わります。
さらにどちらの場合も、Oscillatorで「ドス」とした低音を与え、機関銃のほうはChirpモジュールでより大きな衝撃音を加えています。
さらに、Clockモジュールを使ってfrequencyパラメーターを動画の発砲に合わせ、一定時間ごとに音をトリガーさせれば、機関銃の連射「ダダダ」がすぐに作れます。またハンドガンのほうは、銃上部のスライドがカメラで強調されているため、GunFoleyの「カチャッ」音を大きく上げています。
兵士が拳銃を取り出す「バッ」としたフォーリー音は、前に使用したものと同じ布すれパッチに、もう一基設定の異なるNoiseBandsモジュールを追加することによって、重めの布すれ音を作り出しています。
また、腕を構える際の動きの音をWhooshモデルで作り、「チャキッ」とした銃の揺れをGunFoleyモジュールで作っています。 GameSynthでいくつかバリエーションを生成し、最終的にそれらをDAWで編集して映像と合わせていくといいでしょう。
故障したマシン
次のカットでは、銃撃戦中に攻撃されたと思われる故障したマシンが出てきます。装置がシャットダウンした感じの音にするため、徐々に下がっていくEnvelopeを主体としたパッチを作ります。
パッチは、2種類のNoise及びChorusによってぐらぐらと変調されたOscillatorで構成されています。ピッチなどの各パラメーターがEnvelopeで時間とともに下がっていき、パッチ全体の振幅は、frequencyがゆっくりと減少するLFOによって変調され、音に揺らぎを与えることでシャットダウン感をより強めます。これで、メカが機能停止するようなシャットダウン音に仕上がりました。
他にも音を加えていますが、どれもシンプルなパッチで作られています。
GameSynthには、ゲームやアニメーション向けの合成モジュールがすでに数多く備わっていて、パッチの設計が他のビジュアルパッチシステムよりもシンプルで作りやすく、そしてわかりやすくなっています。今回の例でご紹介しましょう。
BlipとElectricityモジュールの組み合わせで、ややSF風な電気スパークを生み出しています。
マシンから出る煙は、Steamモジュールで作り出しています。Noiseモジュールをフィルタリングしても同様の音が作れますが、Steamモジュールは音の開始時に「プシュー!」という実感あるエアバーストが出せるのでおすすめです。
最後にFireモジュールを単一ソースで使用して、電気スパークの音をパチパチの火花の音でうまく補っています。
これで、ブログ第2部は終了です。シリーズ最後の第3部ブログでは、人型ロボットや大型メカのサーボ、ジョイントなどの駆動音を作ります!