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DSP Action
2022/02/01

GameSynthで中世武器の音を作ろう(後編)

GameSynthパッチ制作 Accel Speller
執筆者 Nicolas Fournel

ブログ後編ではプレートアーマーカタパルトの音を作っていきましょう。

中世の軍隊には欠かせない弓ですが、その攻撃モーションを考えると「弓を引く→ショット→矢が風を切る」という流れになるでしょう。

弓を引く

Fractureは色々な材質のきしみ音を作り出すモジュールで、Natural fibers(天然繊維)やRubber(ゴム)のオプションを使うと、弓のしなる音が上手く作れます。さらにNoise Bandsモジュールで、素材の摩擦感を強調しています。

ショット

ピッチが低く、音の長さを短くしたPlucked Stringモジュールを、Envelopeで制御されたPitch Shifterにつないで、弦を引く音を作ります(ピッチはEnvelopeによって時間変化させています)。 また、FootstepsモジュールのScuffによって「サッ」とした短い摩擦音を加え、Noise Bandsとサブサイン波を作り出すOscillatorEnvelopeによって高速に設定され、短い「バスッ」としたインパクトを与えています。

矢が風を切る

矢が放たれる音は、別のNoise Bandsモジュールで作られています。中域に狭いバンドを多く追加することで、口笛のような特徴的な音にしています。

シーケンス

Time Shifterモジュールによって、シーケンス内の各々の発音を遅延させられます。Lengthパラメーターや各ジェネレーターの音の長さ調整すれば、音のタイミングが異なる多くのバリエーションを作成したり、サウンドを映像と同期させたりすることが容易になります。

ワンポイント

このパッチにはFireという名のメタパラメータを用意し、矢に火を灯せるオプションも備わっています。FireモジュールをFlangerに通すことで、揺れる炎を表現しています。

GameSynth

カタパルト

遠くに発射体を投げられる大型の弾道装置です。弓矢と同様の考え方で作っていきましょう。

スタート/ストップ

中世のカタパルトらしい音に仕上げるため、「木質感」を出していきましょう。Modesモジュールを最初と最後にトリガーすることで、木製のカタパルトを「ガコッ」と鳴らしましょう。さらにSpectral Delayで音の存在感を上げています。

ワンポイント

Modesモジュールで、狭い周波数帯で多くの共鳴モードを設定しておけば、臨場感のある木のインパクト音を作り出せます。

滑車

発射体を加速させるため、ゴトゴトと滑車が動きます。Gearモジュールは本来金属製の歯車の音ですが、Chorusと特定周波数を強調した5band EQ に通すことで、木製のように加工できます。滑車音を強化するために、FrictionFractureも追加しています。

リリース

アームが枠に当たって「ゴン!」と鳴る音を作ります。パワフルな音を出すため、ClangモジュールのForceImpactSizeパラメーターは最大にし、また、大きな効果を出すために、前と同じやり方で風切り音を加えてあります。また、弓矢の場合と同様、火の音を加えれば、炎の発射体を表現できます。

GameSynth

プレートアーマー

最後に、西洋の鎧に武器がぶつかる音も作成しましょう。このタイプの鎧は金属板で作られていて、着る者を完全に包むことができました。もちろん、そのような鎧をつけた騎士は、その存在感が増すことでしょう。

ヒット

複数の金属プレートが「ガシャン」と衝突するという点で、前回のフレイルのチェーンと似ています。モジュール中央のラインで、GaitモジュールでClangを複数回トリガーし、さらにSpectral Delayを通過して音に共鳴を与えています。

摩擦

鎧が「ガリガリッ」と擦れる音を作るため、モジュール左側ではNoise BandsSpectral DelayResonatorを通して、激しい金属摩擦を生んでいます。

ここでのポイントは、Envelope Followerを使い、Clangのレイヤーからの出力でNoise Bandsの振幅を制御できることです。Clangのレイヤーが一時的なジェネレーターとして機能し、共鳴するレイヤーもトリガーするので、それはつまり、Clang音の発生に合わせて、Noise Bandsも鳴らすことができる仕組みです。

ワンポイント

各々のパラメーターにランダム幅を設ければ、再生ごとに異なるアーマーの鳴りが発音されます。wav書き出しやランタイムで利用すれば、ゲームやアニメ、映像用に使える膨大なバリエーションが手に入ります。

最後の仕上げとして、モジュール右側のNoise Bandsをフィルター処理したレイヤーによって、服の布の摩擦も表現しています

GameSynth

ブログを2部に分け、プロシージャル手法で中世の武器音をデザインしてきました。これらのサウンドはすべて、ツール内のリポジトリから検索・ダウンロードできます。(または追加予定)




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