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DSP Action
2022/01/27

GameSynthで中世武器の音を作ろう(前編)

GameSynthパッチ制作 Accel Speller
執筆者 Nicolas Fournel

中世ファンタジーでおなじみの武器音を、GameSynthでブログ2部構成にして作っていきます。ブログ前編ではフレイル(柄と鉄球が鎖で繋がれている鈍器)、後編ではプレートアーマーカタパルトの音を作っていきます。

こういった物理系の武器を考える際、「ガツンと鳴る衝突音」と「ブオンと鳴る風切り音」の2つに分けて考えるといいでしょう。 GameSynthならそのどちらも幅広く作成可能で、音のバリエーションも手軽に作り出すことができます。

まずは中世武器でおなじみ、剣の音を作りましょう。

ヒット音

下の動画を見ていきましょう。音のリアリティを高めるため、まずImpactモデルを使って、手持ちの効果音素材を分析します。

ウィンドウに効果音源をドラッグ&ドロップすると、共鳴成分(モード)が抽出されます。その後、各種パラメーター(ダンピング、ピッチなど)を調整して、希望通りのサウンドに近づけましょう。

このImpactパッチは、ModularモデルからPatch playerモジュールを介して呼び出されます。(Meta Parameterは前述のImpactパッチに既に割り当てられているため、Patch playerモジュールから直接アクセスして微調整できます)

ワンポイント

「分析できる音素材がない!」という方も大丈夫。Modularモデルにて、ImpactモジュールとResonatorモジュールを繋げれば「カキーン」という共鳴ヒット音をプロシージャル的にすぐ作り出せます。

追加の共鳴音

動画では、さらにModesモジュールを加えることで、高周波の「カーン」という共鳴音を追加しています。ランダム幅を加えているため、前述のヒット音と組み合わせることで、バリエーションのある、より豊かな音が生まれます。

風切り音

2つのNoiseモジュールを使って、風音を表現しています。1つ目は低音で武器に重みを加え、2つ目は素早い風音を作り出しています。Lerpモジュールは2つの入力の線形補間を行うモジュールで、Ratioパラメーターにランダム幅を設けることにより、再生ごとに新たなエンベロープが作られるため、毎回微妙に風の鳴りが変わります。

GameSynth Engines Plugin video

リーチがあるので、馬上の騎士に向いている武器です。剣と違い、直線的に突き指すモーションを意識した音にしましょう。

摩擦音

下の動画のモジュール左側のように、Frictionモジュール(金属設定)と Noise Bandsモジュールを組み合わせると、金属が鋭く擦れるようなスクレイプサウンドを作成できます。

Frictionモジュールは、Frequency Shifterで高音化し、さらにEQ Filter(バンドパス設定)で調整されています。このフィルターの周波数は、槍の動きをシミュレートするようにEnvelopeで制御されています。

Noise Bandsモジュールでは、いくつかの高周波帯の狭いバンドを設けることで、メタリックなサウンドを発しています。

Spectral Delayは、音の余韻をより自然にリリースするために使用し、Resonatorは特定の周波数を強調するように設定されています。

ワンポイント

下部のResonatorモジュールのFeed Back値を調整するだけで、槍のレゾナンス(「シャキーン」とロングテールで鳴る共鳴音)を微調整できます。

風切り音

剣と同様、2つのNoiseで風切り音を組んでいます。ただし、より重い武器を演出するために、Filterを制御するEnvelopeのカーブは変えています。リアルな動きを演出するために、2つのノイズのタイミングを意図的にずらしていることも覚えておくといいでしょう。。

GameSynth Engines Plugin video

フレイル

スパイクのついた、迫力満点の武器です。攻撃時にチェーンが回転する音を作ってみましょう。。

チェーン

下の動画を見てみましょう。中央のNoise Bandsは、高周波帯に狭い共鳴バンドを持たせ、かつEnvelopeGaitによってガタつくような金属音に加工しています。

さらに、ModesImpactによって、チャリチャリとしたチェーン音にしています。接続しているGainモジュールは、本来動物の足音を演出するためのトリガーですが、ここでは短時間で多くの衝撃をトリガーし、チェーンのチャリチャリ感がよく出るような役割を持っています。

また、Spectral Delayは、これらチェーンのトランジェント(強く鳴りすぎている音)を軽減して、ジャラジャラ感を整える役割があります。

風切り音

今回は、Noise Bandsモジュールを1つだけ使用して風切り音を生成しました。ピッチと周波数のパラメーターを変調することで、フレイルによって空気が強く押しのけられる感を演出しています。

動き

パッチ全体をRetriggerモジュールによって駆動し、わずかにランダム化されたEnvelopeを3回開始させることで、フレイルを3連撃で振り回すような設定にされています。

ワンポイント

Retriggerに接続されているEnvelopeモジュールのカーブを変更すれば、様々な振り回しの動きを作り出せます。

GameSynthEnginesプラグインビデオ

ブログ後編では、アーマー、弓、カタパルトの音を作っていきます。お見逃しなく!




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