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DSP Action
2022/01/20

DSP Actionでグリッジエフェクトに合う効果音を作ろう

GameSynthパッチ制作 Accel Speller

DSP Actionは、ゲームや実写映像だけでなく、サイバーパンク、グリッチ、VJ系映像ビデオといった、抽象系の映像の音当てにも役立ちます。

マウスやペンタブによる直感的コントロール&多岐にわたるパラメーターのおかげで、下のビデオのような複雑なグリッチ(=意図的に映像を乱す表現)シーンにも、映像にぴったり合う音をすぐにデザインできます。

今回は、DSP Actionを使って、「目を開いて脳内にダイブ」→「デジタルマトリクスの世界へ」といった、電脳風のサイバー映像に音をあててみましょう。

GameSynth Engines Plugin video

脳内にダイブ

まずは「ムーブ_風切り」モデルで、目の開きと瞳の中へのズームを強調するための風音を作りましょう。

下の動画の2つの音は、どちらも低~中音寄りに仕上げていますが、トーンと線の動きを変えて区別をつけています。

ズームインの音には、「ムーブ_ゴア」モデルを使ってくちゃくちゃした有機的な要素も加えました。これは、ズームイン後に脳のシナプスを通過する際のゴポゴポ...とした背景音としても使われます。


次の場面への音の盛り上がりを作るため、下の動画のように「スタート/ストップ_ライザー」も使います。ノイズサブ音を主に用い、音を柔らかくしています。

パチパチと飛び散るニューロンには、シンプルに電気的な感触の「トランスフォーム_電気」を選びました。

下の動画のように、コントロールセクションの線の太さを変えることで、スケッチパッド上の白線も細くなるので、線を横切る時に発音されるスパーク音もよりソフトな音に変わります。 また、音のぶつかりセクションもミュートしています。

サイケデリックトンネル

続いて、シーンは画面が乱れた後、サイケデリックな三角形のトンネルに変わります。

前半の壊れたVHSテープのようなトランジションでは、「ムーブ_静電気」モデルを使って、バリバリ…と映像が乱れる音を与えています。

このモデルは線を描く速度に反応するよう作られており、下の動画のように、速く殴り書くほど、強いバリバリ音が得られます。また、映像に合うようスピードの影響度を若干下げ、トーンを少し上げています。また、後述する別のトランジションでもこのモデルを使いますが、ストロークの形は変えてあります。


三角形のトンネル内では、「トランスフォーム_シンセ」モデルで抽象的なシンセ音をあてています。スケッチパッド上のうねる線を横切るように上下に線を描けば、映像のタイミングによく合う、音のうねりが得られます。また、グラフィックの線の形状が音に影響するので、スケッチパッド上のどこに描くかでも音が変わります。

瞬間的にトンネルを後退する際、「トランスフォーム_巻き戻し」モデルで、時間を巻き戻すような音をあてました。

グリッチ

映像後半ではグリッチの世界に突入し、より画面が乱れていきます。

シーン同士の繋ぎに、「スタート/ストップ_パルス」モデルを使って画面の駆動音をあてています。サブ音モジュレーションを調節し、ぐらつくような駆動音に仕上げています。このモデルでは、Y軸の高さで音の速度感が変わります。シーンの終わりのタイミングで線を下側に下げることで、出力が下がって終わるような音が生まれます。


映像に垂直な線が並んでいるシーンでは、「トランスフォーム_デジタル」モデルが合うでしょう。このモデルでは、線がスケッチパッド上の正方形を横切る際、その正方形のサイズによって音が変わるため、スケッチパッドに線を描けばランダムなグリッチ効果が簡単に作れます。また、映像に合うよう、トーンパラメーターを調整しています。

さらに「トランスフォーム_計算」モデルで、何かを計算しているような雰囲気を出しています。デフォルトでは音色が強すぎるためブリープセクションをミュートし、円弧を長くして、複数のサウンドをトリガーしやすくしています。「トランスフォーム_デジタル」パッチと組み合わせると、コンピューターウイルスが侵入しているように聞こえます。


最後に、ビデオの終わりのピクセライズ表現に「トランスフォーム_グリッチ」を使いました。「トランスフォーム_デジタル」と似たコントロールで操作できますが、より多くの切り刻み音が発生するため、ビデオ終盤のぶつ切り感とよく合います。

また「スタート/ストップ_起動」モデルを加え、スケッチパッドに下向きの線を描くことで、映像のシャットダウン感を強調しました。




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