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GameSynthでドローン音を作ろう
GameSynthのパッチ環境(Modularモデル)は、120を超えるモジュールを搭載しており、多種多様なサウンドの生成が可能です。今回はゲームや映画でよく耳にする、ドローン音を作成していきましょう。
ドローンとは、サスペンス・ホラーシーン等でよく流れる「環境、心理的なアンビエントサウンド」のことです。動画で作例を見てみましょう。
最初に
ドローン系ジャンルには、サイコ映画のランブル音から瞑想的なトーンパッドまで様々な音色がありますが、共通するポイントとして、そのどれもが音が「ゆっくりと変化」します。つまりGameSynthのコントロールで「ゆっくりと変化する」フローを組み立てれば、あとは音源とエフェクトを変えるだけで、いろいろな音色を試していけます。
後述しますが、今回取り上げるドローンパッチは、以下のような設計構造になります。
パッチは、以下の3つの流れで組み立てていくと分かりやすいでしょう。
①ジェネレーターの配置:SineBankやChaosなどがドローンの作成に適しています。
②プロセッサーの配置:FlangerやChorusなどのエフェクトモジュールを使用して音源を変調させましょう。(後述しますが、変調を起こすテクニックとして、ジェネレーターの入力ピンにコントロールモジュールを繋ぐ手法も有効です)
③空間効果の配置:最後に音声信号をステレオ分割し、リバーブやディレイなどの空間系エフェクトを加えます。
まずは、作例「Noise Drone」を見てみましょう。
この例では音源はNoise Bandsモジュールですが、似たような音を出すモジュールとして、Windを使えば素早く色々な変調ができ、さらに音に乱雑さが欲しい場合はGranular Noiseを使ってもいい結果が得られるでしょう。
EQフィルターは共鳴の強いローパス設定にしており、これで「ゴオオ」としたサウンドのベースが生まれます。Resonatorで特定周波数の共鳴を起こし、Reverbで空間効果を与えています。
それぞれがStereoの左右のラインでパラメーターを僅かに変えており、これによってリッチなステレオ効果を生んでいます。
パッチは、「遅い反復を繰り返すLFO」と「疑似ランダム信号による繰り返し感の少ないPerlin Noise」の2つのコントロールモジュールによって、時間とともに絶えず変化していきます。この2つのコントロールは他のパッチでも使用していきます。
テクスチャ系
別のジェネレーターを使って、もう少しテクスチャ感のあるドローンを作成してみましょう。
下の動画の作例は、pitchとlivelinessが左右で僅かに異なるElectricityモジュールが音源です。音源自体が激しい音ですが、ここではSpectral Delayを使うことで、音にさらに有機的な感覚を与えています。
すなわち、各周波数帯に異なるdelayとfeedbackを設定することで音が粒状化し、かつLFOでその遅延が揺らぐため、「グシャ…グシャ…」とした波打つような効果を生んでいます。
モジュール下のツールバーにあるランダムボタン(サイコロアイコン)を押し、SpectralDelayの効果を試していくといいでしょう。
カオス系
ドローンの作成にはChaosモジュールも便利です。荒々しいノイズからFMトーンまで幅広いサウンドを生成でき、さらにパラメーターを変調させれば、
名前の通り奇妙なサウンドが生まれます。
次の動画のように搭載パラメーターにランダムな範囲を割り当てておけば、ワンクリックで多様なサウンドバリエーションを書き出しできます。
以下の例では、デチューンされたChaosモジュールを重ねることで、パッド系サウンドを作り出しています。左から3番目のChaosモジュールは、lowpass入力を変調してサウンドにユニークな動きを作っています。
パッチ下部でAllpass Filterを用いていますが、これはモノラル音源をステレオ化させる、手軽で便利なテクニックです。
トーン系
ジェネレーターの一つであるModesモジュールは、「ポーン」という衝突系音を生み出す通常の使い方以外にも、surface入力を用いて「ホオオ…」という表面摩擦音を作る使い方もできます。
以下のパッチは、さらにPerlin Noiseによって時間とともに音をゆっくり変え、Chorusモジュールでピッチモジュレーションを追加することで、手軽にトーン系ドローンを生み出しています。
また、Sine Bankを使うと、Modesモジュールよりも分厚いサウンドを作成できます。
spread(各正弦波間の広がり)とsaturation値を変調することで、新たなハーモニクスが生まれていきます。このパッチではコントロールにEvolverモジュールを使用していますが、機能はPerlin Noiseに似ており、ゆっくりと変化していくコントロール信号を生成します。実際に比べてみるとよりシンプルな仕組みであることが分かるでしょう。
最後に、サイコ映画等でよく聞く、金属の耳鳴り系ドローンを紹介しましょう。
Frictionモジュールは、様々な物体の摩擦音を生み出すモジュールです。周波数帯の異なる3つの金属音を発生させ、それらを変調させながらCabinetモジュールに送りこむことで、不安定に揺らぐ複雑なミックスを作り出しています。ホラー作品などで使っていけるでしょう!
今回紹介した作例を含め、様々なドローンパッチがGameSynthリポジトリからダウンロードできます。リポジトリ画面にて"Drone"で検索すれば、ワンクリックでお好きなパッチをご活用頂けます。